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五%ブドウ糖液を投与すると、かえって症状が悪化するので絶対に使用しないでくたさい。
いずれにしても、高温下で厳しい肉体労働をして大量の汗をかいたときには、水と一緒に塩分を補うことが熱けいれんの予防になります。
次に熱疲労ですが、これは高温下で作業をしているときに、多量の汗をかいたにもかかわらず、水分や塩分を補給しないために脱水状態になると同時に、体内にこもった熱を発散できないためにおこる異常で、全身倦怠、頭痛、めまいなどに引き続いて血圧低下や失神発作などもみられることがあります。
ひどく汗はかきますが、体温は四〇度を超えることはありません。
治療の原則は涼しい場所に移し安静に寝かせておくことです。
通常はこれだけで自然に回復しますが、同時に水分や塩分を補給させてやると、より効果的です。
水五〇〇mlに食塩五gを加えたものを飲ませるか、市販のスポーツドリンクを飲ませます。
しかし、どうしても経口による摂取が不可能な場合は、生理食塩液一、○○〇mlを点滴することです。
意識が薄れ、皮層が冷たいときには体を約め付けている衣服をゆるめ、足を高くして寝かせ、体を温めてやることも必要です。
最後に熱射病ですが、これは死の危険が押し迫った最も重傷の熱中毒で、身体が暑さに十分順応していない初夏に起こりやすく、また飲酒、疲労、睡眠不足などが誘因となることがありますので注意してください。
高温で湿度が高く、しかも換気や通気の悪い部屋で長い間作業していると、発汗による脱水に加え、体内の熱が発散されにくくなる、いわゆるうつ熱状態となります。
はじめは発汗が著しく、口の乾き、頭痛、吐き気、嘔吐などを訴えます。
皮層は乾燥して熱く、紅潮します。
体温は四〇度を超え、けいれんや意識障害を起こします。
治療は一刻も早く体温を下げてやることです。
風通しの良い涼しい場所に寝かせ、できるだけ裸に近い状態にして全身に冷たい水をかけながら、扇風機で風をあてます。
また、わきの下やもものつけ根の内側の部分に氷嚢を置き、体温を下げてやるのも良く、体温が三八度くらい

 

 

 

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